「レドウタブル VS HMS.ヴィクトリー」トラファルガー開戦時

スペシャル回想のトラファルガー第4番

敵最大の戦列艦サンティシマ・トリニダット号(130門)を攻撃目標として突撃したHMSヴィクトリーは、船足が落ちていたこともあり追いつくことが出来ない。その後続にフランスの戦列艦群3隻。先頭のヴュセンタウル号(砲80門)にヴィルヌーブ提督の司令長官旗が上がる。ネルソンは、直ちに方針を変更、その3隻へ挑かかり、ヴュセンタウル号と残る2隻を分断するがごとく割り込むが、フランス側はこのときとばかり徹底的な集中攻撃を仕掛けた。そこへフランス艦隊きっての強者レドウタブル号が組み付く。激しい至近距離での砲撃戦。海戦は第1の局面を迎え、それは、この海戦もっとも重要且つ最大のドラマのクライマックスであった。

フランス戦列艦 砲74門 レドウタブル号 VS 1等級戦列艦 砲104門 H.M.S.ヴィクトリー
元画像:900*690 198kB クリックにてどうぞ!
 
#またもや以下妄想。。。(^^;
史実に基づく物ではないのでどうでも良ければ飛ばし推奨。

嵐が来る前の大きな蒼いうねりの中、美しい戦列艦同士の凄絶で血みどろな戦いは最高潮に達していた。艦長ハーディーはクォーターデッキからヴュセンタウル号の砲撃で負った血だらけの足を引きずり怒声で指揮を執っている。ネルソンもまた激しい戦闘を繰り広げる乗組員一人一人を叱咤激励しながら、なぜかうつろげにエンマとの間にもうけた4歳になる愛しい娘ホレーシアを思い出した。
あの子は、今私が何を考え何を行ってその結果によって何を得ようとするのか考えに及ぶこともなく、あの懐かしい美しい緑の包むマートンの邸宅で、戦場に向かう日に送った碧い目の人形を抱きしめて遊んでいるに違いない。
ふと彼は、いつも佩用している長剣が腰にないことに気づいた。
「スコット!私の長剣をっ!」
(あ、いつも傍らにいた秘書は、ハーディが負傷したときの砲撃で木片に打ち抜かれて死んでいたのだったな。)
 
突然、ネルソンは心に大きな穴が開いたことを悟った。。。
そして、砲撃の音が鈍く重く遠くへと消えて行き、硝煙のけぶる中に、漆黒の闇とそこに煌めく閃光が見えた。。。。。。

傍らにいたハーディ艦長はネルソンが膝を折ってデッキに突如崩れ落ちるのを見た。そこは、秘書のスコットが倒れその血にまみれた場所だった。
「提督!」
「ああ、ハーディ、ついに奴らは私を殺ったなぁ。。。!」
ハーディの腕の中、ネルソンは弱くからりと笑顔で返した。
「これくらい、なんてことありません!今すぐ治ります!」
「いやいや、背骨をやられたのだよ。」
ビューティー軍医が現れ、すぐにロワーデッキの医務室に降ろすように海兵隊員に指示する。運ばれながら、ネルソンは、再びホレーシアの愛らしい笑顔を思い浮かべたのだった。