富山荒夫氏のコメントの続き

編集部:「ところで主砲の67cm高角砲ですが、なぜ、シャア専用砲塔などと呼んでみたりしたのですか?」
富山氏:「ご存じの通り、大和の第2艦隊による沖縄作戦時に米軍機を一手に引きつけるために、「伊吹」のみ全艦を真っ赤に染めたという記録があり当時の乗員も「朱塗りの毘沙門天」というような渾名を一時的に言ったようです。当然、その砲塔は赤い彗星シャア専用ザクと喩えてしかるべきモノであると判断したままでです」
編集部:「それにしても富山先生がガンダムフリークだったとは知りませんでした。(^^;」
富山氏:「孫があんまりお爺ちゃんにガンプラをせびってきたために思わず自分も嵌っちゃいまして。個人的には「デンドロビューム」とか「アーガマ」などが艦船設計家としても優れたインダストリアルデザインであると感服してます。もちろん、ファースト・ガンダムが好きで、フラウボゥ萌ぇ〓▼
編集部:「先生、歳、いくつだぁ?」
バキ! ( °▽°)=◯)`ν°)・;'.、

その後まじめに

編集部:「特徴として伊吹には可動するフィンスタビライザーがあったそうですが。」
富山氏:「いわゆるローリングに対しての動揺制止装置としては、シュリックやスペリー式ジャイロ・スタビライザーなどがありますが、重量が大きく効果ももうひとつのものでした。しかし大正11年三菱長崎造船所副所長の元良信太郎工学博士の草案による「鰭式スタビライザー」がすでにあったのです。これは、ジャイロ式などにくらべて極めて単純な仕組みで船体のビルジ部に左右鰭を突き出し航走中の動揺周期にあわせてその軸を中心に手のひらを返すように左右反対向きに扇がせると鰭面にあたる水圧が交互に上下に動き船の動揺を抑止します。鰭自体は操舵機と同じ原理の装置ですが、これをコントロールするのにコントロール・ジャイロ(こま)を用いて船の動揺に応じて生じるプレセッション運動が操舵機を起動する電気スイッチを切り替えて鰭を適当な方向へ向けます。
いわば、動くビルジキールでして、早くも大正12年3月進水の対馬商船の睦丸(521総トン)で実用化されました。*1

*1:図説日の丸船隊史話P278 cf