小だまたけし「平成イリュージョン」

もっとこの人の作品読みたいです!!

ふと思い出したのは、先日信州へ仕事に出向いて松本城を見たときでした。
あ、無性に読みたい!と。早速、こいつを引っ張り出して読んでみたけど、
やっぱりめちゃくちゃ面白いです。作者はどうしているのかなぁ〓と、
ぐぐってみると、あら不思議、ご本人のHPもあって、でもあまり作品増えていないじゃないですか?
お〓〓〓い、この人を埋もらせてはならないよぉ。漫画界の大きな損失だ!
作者は、電撃ゲーム3大賞(第5回)「コミック部門大賞」をこの「平成イリュージョン」で受けております。
仮想戦記風に見せかけて実は鋭く現代日本のアイデンティティーを問う表題作を始め、組織の確執をけれんみたっぷり茶化したような「エピソード2 空と海の狭間で」、某自動車メーカーでリストラで開発中止になりかけたロボット(というか遠隔操作の出来るモビルスーツ?)が家政婦に扮し、汚名挽回のためモニタリングのため送り込まれた社長宅で令嬢である少女の心を解きほぐすという、「ロボ家政婦は見た!?」、未来の金星におけるその統合組織と地球の確執、金星を地球化するために創られた巨大なカサ、それにまつわる伝説を感動的なラストへまとめた「女神の背信」、剣道少女が南の島で出会うダムに水没した村を逃れた日本人が江戸時代のスタイルそのままにある島に生き残り現代社会と向き合うほろ苦い「チャンバラとリオ」、そして「平成イリュージョン」の世界に向き直ってこのオムニバス形式の作品を全体で統一しなお且つ全ての作品の根底に流れる現代への不安を「自分自身さえ見失わなければ(云々)という一言に集約してゆく「再び」。これら6篇の作品はそれぞれが独立した作品として読めるのに
この本でまとめて読むことによって格別の感動があります。
さすが、大賞受賞作です。辛口の評論で有名な押井守も絶賛です!
FRAMした戦艦大和も見られてしかも祝砲や花火を打ち上げる?シーンに
日本人のアイデンティティーの崩壊を見てしまうのですが、そこで「ああ、
平和っていいなぁ〓〓」って恍惚しちゃう私はやっぱり小市民ですな。

ミリタリーのリアルさも良いし、小気味よい展開、先を読ませない奇想天外さ、
萌キャラの女の子「戸原少尉」などの存在。ああ、良いです!
最近、再販されました!

平成イリュージョン (ミッシィコミックス)

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