交響曲第1番ハ短調

交響曲に目覚めた2番目の曲

1975年夜NHKホールでのカールベーム指揮VPOのこの曲のライブは伝説らしい。当時、音楽をまだ良くわからないでいた(クラシックなど嫌いだった)少年の比較的難解であろうこのジャンルの音楽への目覚めを促したのが、ほかならぬFMでエアチェックしたテープを天体観測の間に聞いたことであったことを懐かしく思い出す。そのときカラヤンBPOのドボ8がA面でまずこれが愛聴盤となりついで裏面のブラ1を理解してゆくようになったのだ。
1楽章の晦渋な大変息の長い前奏、厳しい冬の星空の寒さの中で耐えながら聴いていると自分が殉教者にでもなったかのような気がしたものだった。(笑)
この楽章は、ベートーベンに継ぐ交響曲作曲を強く意識したブラームスならではの強大な構築感が圧倒的に胸に響いて、いまでもきちんと正対して聴きたいものと考えている。ソナタ形式であるが、経過部分などベートーベンやその模倣を繰り返した他の埋もれた作曲家とは一線を画した巧妙さがあり、第10とされるのもうなずける。熱く情熱的に曲は進み、なにか希望を求めるかのごとく余韻を残しながらコーダを迎えると、2楽章は沈鬱でありながら慎ましやかで敬虔な祈りの緩徐楽章となる。内省的でしかし安らぎ溢れる恍惚の音楽。この真剣さとロマン的なバランスは絶妙!
そして大変チャーミングなメヌエット3楽章は、今までの気難しい展開から聴くものを引き離し、音楽の楽しさへといざなってくれる。
終楽章、これは長大な序奏で始まりまず何かたどたどしく追い求めようとするがごとく飛び飛びの音形が途切れると、突如シンプルかつ雄大なアルペンホルンの響きが鳴り響く。素晴らしい音による清廉崇高なアルプスの高みを思わせ恍惚。。主部に入るとベートーベンの第9を意識したとされるわかりやすいハ長調の主題が展開される。そして、熱く盛り上がったところで、再びアルペンホルンの主題が戻って「うわぁー!」恍惚!すごいなぁ、ブラームス先生!
最後は大団円で喜びに満ち溢れて終わります。

名盤といえばカラヤンVPOとかフルトベングラーなど
枚挙にいとまが無いのだが、このベームVPOも程よい
緊張感と落ち着いた佇まいが好まれるです。
ブラームス:交響曲第1番

ブラームス:交響曲第1番