交響曲第2番ニ長調

美しい夕焼け空の楽しいひととき

ブラームスの交響曲は4曲あるけど、チューバが使われるのはこの2番だけ。何故?
1番で使わないのは、ベートーベンを意識していた事もあると思うが、なにも3,4番もチューバ抜きにすることはなかったろうにとチューバ吹きのぼやきはさて置いて、要所要所で渋い使い方なのだけど、特に終楽章などはもうカッコイイ、シンコペーションのフレーズでブラームスも結構こういった楽器を駆使するのが上手だなぁとか思います。
さて、第一番は作曲に20年!も掛かったわけですが、続くこの曲では1877年6月から9月正味3ヶ月で完成してしまいました。このことは識者の方が書いておられるように、20年の歳月は1番だけでは昇華しきれないものを2番にも与えた結果だと言うことと、如何にベートーベンの後にシンフォニーを書くことをためらっていたかの傍証です。特徴的なD-Cis-Dのフレーズによる全体の有機的統一や件のチューバの用法に見られる金管楽器の大胆な使用方法、バッハ張りの端正な楽譜からは想像も付かない濃密なロマンティスズム、シンコペーションやポリリズム的複雑なリズム用法、半音階を多用した転調など実はかなりの大胆な音楽にもかかわらず、ブラームスブランドの揺るぎない構築感と古典的響きの安定感はむしろ一番の完成度を超えている気がします。
1楽章ではD-Cis-Dの低音に対し一番の終楽章のアルペンホルンを彷彿とさせるホルンの響きが印象に残る序奏や82小節からの第1主題(解説によると第2主題となっていることが多いが)の美しくも物憂げな旋律が恍惚。木管楽器群がチャーミングであちこちで美味しいフレーズで楽しげです。
2楽章アダージョはファゴットとチェロがそれぞれ上昇・下降のシンメトリーな関係の半音階的メロディーを歌い出すところがまた心に滲みます。全体に薄いテクスチャーですが、なにげにトロンボーンとチューバがコラール風に音響を支えるというのが「嬉しい!」
沈鬱ですが、一楽章が「沈み往く太陽が崇高で真剣な光を投げる楽しい風景」ならこちらは「夜の帳が落ちて一番星が輝き出す幸いな祈りの風景」といったところでしょうか。
3楽章は可愛らしいメヌエットでのっけからオーボエの”可愛らしい旋律”が恍惚。解説によってはロンド形式としているようですが、むしろ変奏曲形式の経過部に”可愛らしい旋律”を織り込んでいるともとれるのですが。
4楽章は序奏無しでいきなりの第一主題。とてもスピード感あふれる軽やかな、しかし品の佳い主題でこの曲で一番の聴き所!
アレグロ楽章で古今東西の中でももっとも聴きやすく聴き応えがある音楽です。
特に、後半からフィナーレへの流れでは、スコアを見ていてもすっきりとした無駄のない楽譜。ここをとっても1番交響曲を大きく凌駕していることを感じます。
ブラームスの作品では私はこの曲と4番がもっとも好きな曲です。

やっぱベームですねぇ。

ブラームス:交響曲第2番

ブラームス:交響曲第2番