交響曲「宇宙戦艦ヤマト」

亡き名作曲家兼ピアニストへのつたなき捧げもの

題名のない音楽会でも氏のアレンジによる古今東西のポップスやクラシックアレンジは上質なもので自分はひそかに日本のウォルトンかアーノルドとか呼んでいたんだけど、この交響曲「宇宙戦艦ヤマト」は氏の傑作の一つだと思うのだ。
1楽章「誕生」では、宇宙戦艦ヤマトの主題はあまりにも歌謡曲よりのものでシンフォニーのソナタ形式のような展開変容は難しいだろうに、第1主題ととして活用しているのは凄い。
2楽章「闘い」:3部形式のスケルツォ風。主題はコスモタイガーのテーマ。しかし流麗でラテン風な楽しさと緊張感がある。トリオはブルックナーのアダージョ風でロマンティック。
3楽章「祈り」:全体はいくつかのテーマを次々にオムニバスのように繋いでいる自由な形式。ディーリアスかRVWのアダージョ音楽に通じるしかし羽田氏らしいたゆたう美しさのイントロ。そこへ憧憬と悲哀を秘めた非常に美しいイスカンダルのテーマが流れ込んでゆく。「無限に広がる大宇宙」がソプラノヴォカリーズで入ると祈りは大きな愛を歌い上げて雄大な拡がりを見せてゆく。ここを聴くだけでも涙を眼に溜めてしまう。
4楽章「明日への希望」:ピアノ協奏曲風に始まったかと思うと、ヴァイオリンの独奏もからむ2重協奏曲として構築されている。いくつもの主題が入り乱れてしかし全体の統一感を損なわないで緊張感を持続している。最後に宇宙戦艦ヤマトのテーマが復活し堂々と完結。

宮川氏と羽田氏と、このジャンルの素晴らしい作曲家さんが消えてしまったことは本当に残念です。

交響曲 「宇宙戦艦ヤマト」~ライブ~

交響曲 「宇宙戦艦ヤマト」~ライブ~