ALPHA

Don't Cry! & Open your eyes!

なんか突然聴きたくなったので。
エイジアは重厚長大なプログレの流れを大きく変化させ、いわゆる3分半ポップ*1という形を作りながらも、プログレ特有の雄大な音楽は忘れないでしかもキャッチーな音楽を売り出し、ファーストアルバムAisiaは記録的なヒットを生んだ。
2作目アルバムのこれ、「ALPHA」はより洗練されたサウンドと練り込まれたアレンジ、完璧にまで構築された世界観で 前作よりも完成度が高かったわけだが、なぜか、「Don't Cry」がヒットしただけでアルバムとしては売上的には前作を乗り越えることが出来なかった。しかし、恐らく全AISIAのアルバムでも、筆頭にあげるならこのアルバムであることには、多くの方にうなずいて貰えると想う。
手前味噌だけど、ジェフ・ダウンズの曲作りは自分も相当影響を受けというか、曲によっては、まんまパクってしまったりしたわけだがw
珠玉の曲ばかりのアルバムだし、多くを語りたいところだけど、簡単に紹介してみようか。

1.Don't Cry
ワクワクするようなオルガプンクトを含むアルペジオの渦巻きにスティーブ・ハウの美しいかけあがりフレーズには鳥肌立てて恍惚!もし宇宙へ往くなら絶対BGMにしたいな^^

2.He Smile Has Left Your Eyes(偽りの微笑み)
ミディアムテンポながらダイナミック、どこか哀愁があるのにカラリと明るいメロディー。サビでのウェットンの歌い上げとカール・パーマーの世界が壊れんばかりのドラミングに燃える。

3.Never In A Million Years
これもミディアムテンポだが、前曲とは違い「ついたちじゅうごにち」で断固たる勇壮な曲。これもサビのコーラスが調子が良く、ほどよく緊張感を持つ。
オーバーハイムだと想うんだが、シンセホルンのオブリガードは秀逸!というか、其れが聴きたくて居たり。

4.My Own Time
派手なギターとオルガン、ドラムのオープニングに続いて、ハウの12弦ギターのメチャクチャ美しい伴奏となにか懐かしいメロディー、背景でふるさとを憧憬するかのようなパンフルートの合奏、そして短い経過部を経て、強く雄大なサビへ流れるとここもまた鳥肌が立つような壮大な惑星の風景が拡がる。ここでも最後にトランペットの輝かしいファンファーレが印象深い。

5.The Heat Goes On
一変して深刻でドラマティックな(というかミステリックな)始まりでバラードかと思わせて、Aメロからミディアムテンポのハードロック。と想わせて更にサビでは分厚いコーラスと軽いオケヒットで、「あ、これプログレなんだっけ」って引き戻される。ELOあたりは、この曲の影響を相当受けているな。
中間部では、短いながら凝ったアレンジのEGソロ、更に後半部ではジェフのオルガンソロがあってコレは、もう、キーボディストには最高の御馳走で。

6.Eye To Eye(悲しみの瞳)
始まりこそミディアムテンポのキャッチーなポップスだけど、Bメロからはいきなりスリリングなインストで、サビは壮大なコーラス!中間部では、ハウのお馴染みの透明感を持った力強いソロが伸びやかに飛翔、そこにシンセのアルペジオが恍惚!

7.The Last To Know(時の旅人)
ミステリアスなピアノ伴奏によるバラードで始まり、シンプルながらボーカルが歌い上げると、サビは壮大なコーラスになるがここのコード進行は神秘的でまさに時間をイメージする。輝かしく雄大なエンディングはまたしてもトランペットの美しいオブリガードが素晴らしい。

8.True Colors
スイープするシンセピアノはSFっぽいな。全編、こてこてにこのシンセピアノをフィーチャーしている。曲作りが上手いなぁと想うのは、後半にかけて曲をソナタ形式張りに展開しているところとか、案外聴き所の多い曲。

9.Midnight Sun
実は、このMidnight Sunこそこのアルバム中もっとも大好きな曲。
7/4の変拍子で始まるが、全然違和感なし。ここが夜空の巡るめく星々をイメージさせてくれる。そして、Bメロはキャッチー。サビは細かいフレーズを重ねたポリフォニックなアレンジが素晴らしいし、後半でのハウのソロがまた格好良い!!
ウェットンの伸びやかな美しい歌声が素晴らしい。

10.Open Your Eyes(永遠の輝き)*2
これもなにか虚しさを感じさせる歌い出しだが、Bメロ(サビ)は明るく堂々とカッコイイ。中間部はハウの2重ソロで最高の盛り上がり。そこにカウンターを入れるシンセブラス&ピアノのアレンジの素晴らしさ。再びイントロのフレーズ”Open Your Eyes”に戻るとプログレらしく、このフレーズを元に徐々に盛り上げて行き、巨大な音響の伽藍を築いて遙か彼方へと飛翔して行く。

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このアルバムが売れなかったのは、自分には何となく分かるんだな。

当人の入れ込み方が激しいものを一般に人は避けようとするものなのだ。

だからこのアルバムは、エイジアのアルバムでも異彩で孤高であることを選んでいるのだ。

アルファ

アルファ




*1:ジェフ・ダウンズは有る意味プログレを進歩させたのかもしれないが、皮肉にも結果的には其の衰退を促してしまった。

*2:この邦題はどうも^^;