第3番「田園」

名付けて「ランドスケープミュージック」なんちゃって。

この曲をもってしてRVWの最高傑作とする方も居られるくらい、美しい音楽である。この曲を冗漫だと感じる人は、恐らくイギリス音楽属性を持たない人と言えるかと思う。あっ、石投げないで!!別に悪い訳じゃないから。
昨今、ガーデニングブームでイギリス式庭園がもてはやされているけど、この曲を聴くといわゆる「イギリス式風景庭園」を思わせる。此処で描かれる田園は、ベートーベン的な人間の営み、喜びを感じさせるものではなく、風景の佇まいとその心象風景であって、その風景とはウェストサセックスやバスコットやバッキンガムシャーなど代表的されるようなもの。ベートーベンのそれより遙かに具体的絵画的である。ちなみにこの曲を聴いても日本の田園風景など全然感じられないです。いわば、これはRVWによる音楽のナショナルトラストじゃないかな。
1楽章と2楽章はよく似た表情を持ちあきらかに緩徐楽章で、たゆたう幻想的な音楽である。どこでも恍惚です。3楽章は祝祭を表しているようだが、大変重々しく古代の祝祭のように感じる。フィナーレは、レントでソプラノのヴォカリーズの儚げで幻想的なメロディーに恍惚恍惚です。消えゆく白雲のように音楽は静かに閉じられます。

V,Williams
「A Pastoral Symphony (No.3)」& No.4
Royal Liverpool Philhamonic Orchestra
Vernon Hndley
EMI EMINENCE