第五番

春を感じる揺らめく陽炎のような響き

関係ない話ですが、未だ寒の内だというのに道ばたにもう菜の花が咲いておりました!
感動!というわけで寒さから春へ向かうときに聴きたい音楽ということで、今回はこのヴォーン・ウィリアムズの5番。
まさに春が訪れることを予言するかのような、田園的な響きの作品。
しかし、作曲が1938〓43ということでイギリスはドイツと戦争を始めておりましたから、田園といっても平和に憧れた仮想の楽園といった趣かな。
1楽章「プレリュード」の反復する上昇音形の主題と少し遅れ出てくる息の長い憂いを秘めた下降音形の主題は、極めて強い響きで、フィナーレでも現れ精神的な強靱さを持っており、交響曲第3番「田園」の幻のような響きとはかなり違う。この2つの主題の印象が交響曲を全体を強く支配する悲しみと祈りを表しているのでは。
2楽章では、印象派風な響きをもつスケルツォ、民謡風なメロディーやリズムが楽しい。
天国的な始まりの3楽章は、オルガンのような厚みのあるコラールの響きで平和・安らぎ、たっぷりと時間を掛けて祈りの音楽を聴かせてくれる。
中間部で下降音形主題の変奏で泣かしてくれる。ここで恍惚!木管の人は気持ちよいのだろうなぁ。。。
フィナーレは各楽章の思い出しつつ堂々とコラールのクライマックスを築きます。
そして、コーダで1楽章の主題が戻って静かにしかし堂々と音楽を閉じます。
不安げな憂いの響きと、祈るような希望の響きを対比した、祈りの交響曲、聴けば聴くほど春の訪れを早く望みたくなります。

輸入盤ですが、思い切り分厚い音作りです!堂々たる演奏!!

EMI 
Royyal Liverpool Philharmonic Orchestra
Vernon Handley
「Vaughan Williams Symphoniy No.5 in D」
「Flos Campi」合唱は、Royyal Liverpool Philharmonic Chior
       ヴィオラはChristopher Balmer
「Oboe Concerto」ソロは、J.small氏、とても優しみのある音のオーボエで快演です。
1987&1991 recordings