どうしてこのような音楽が存在しているのだろう!?
この曲を聴いたのは中学3年のとき、NHK〓FMクラシックアワーで演奏はカラヤン・ベルリンフィルだった。冒頭のハープとホルンの短い掛け合いパッセージ、2度音程で下がる動機が徐々に和声域を広げてまるで朝もやが晴れて高原と高い空が現れてゆくような今まで聴いたことも無い不思議な音楽に感動し涙まで浮かべてしまった。
その後ポケットスコアを買ってドイツ語辞書片手にマーラーの楽譜への書き込みを研究しスコアの分析もどきで自己満足していたっけ。小沢征爾・読売響のコンサートでは、感激して楽屋まで行って帰る途中のマエストロにサインを入れてもらったりしたこのスコアは宝物である。
1楽章は、ゆったりとした導入に全曲のすべてが凝縮されていて、調性的にも長調なのか短調なのか実は印象の上でもスコアの上でもはっきりしないのに、ワーグナーのトリスタンとイゾルデのような頽廃美でも無く、後の無調的響きも無く、限りなく透明感があふれていて、《透明調》とでもいう他が無い。もうこれは恍惚するしかない音楽だ!
構成も複雑で変化に富み、諸井誠が協奏曲でいう「2重ソナタ形式」と分析しているが、実際入れ子のようにソナタ形式のなかにソナタ形式を持ち込んでいるフラクタクル図形的なもの。ん?それってJSバッハ的じゃん。。。
2楽章は舞曲で愛らしくでもどこかシニカルで1楽章のアイロニー、3楽章はスケルツォで、じゃんじゃかじゃんの喧騒に挟まれる高音域トランペットの鳴り響く天国的な部分で恍惚!!ラヴェルのような響きもしくはウェーベルンやベルクのような響きで不思議感覚いっぱい!終楽章はアダージョで長大かつ息のめちゃくちゃ長い旋律で、極限的に引き伸ばされた悲しみの時間を感じる。調性はもう崩壊寸前ですが、破壊される前に救われます。ここから先、マーラーはロマン派の死への扉を開いて、符合するがごとく自らも黄泉の国へと旅立ってしまうのです。「9番目」のジンクスのとおり。。。。
マーラーの最高傑作とされる交響曲9番。。。恍惚の音楽です。。。
ラトルの最新版はかなり良いらしいがまだ聴いていない。。。 個人的にはバーンスタイン・BPOが好きなのだけど、あえてここでは冒頭ご紹介のカラヤン・BPOをご紹介。カラヤンの完ぺき主義もGOOD!だと。。。
- アーティスト: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,マーラー,カラヤン(ヘルベルト・フォン)
- 出版社/メーカー: ポリドール
- 発売日: 1998/06/10
- メディア: CD
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