「マーラー」作曲家○人と作品シリーズ 村井 翔 著

これだけは紹介したい本と思うので。。。

G・マーラーを日本人が書いた伝記ものはいまいち読みに食い足らない感じを受けるもので、最初あまり気にもしなかったのだが、立ち読みしていたら、「こりゃ今まで読んだ本とは違うぞ!」って、読みながらレジに向かってしまったある日の三省堂。
作者はドイツ語専攻で精神分析学の専門と言うことで、しかし、かなり音楽にも造詣が深い!また、音楽学者や作曲家では出てこない言葉でマーラーとその作品を分析、海外作者による評伝などの記録も原本を自ら翻訳しまた自信の考察も対比させるなどかなりのもので、例えば前述したけど交響曲9番の1楽章などでは「再現部」とされる部分はもはや「崩壊部」と表現していたり目から鱗です。こんな言葉は音楽や文学畑の人からは出てこないはなぁ〓。精神分析や心理学に長けていらっしゃる人ならではです。また、ユダヤ教周辺の事実、アルマとの関わり合い、心臓疾患の本当のところ等々、おそらく原点たる一次資料を精密に分析して居る上で明快な回答を用意してくれてます。全体にマーラーについてある程度の理解深度を持つ方ならこの本はかなり美味しい本ですヨ!

こんな優れた評伝があっとおどろく1.5k円なり!!!安くて恍惚ッ!
マーラー (作曲家・人と作品シリーズ)

マーラー (作曲家・人と作品シリーズ)