ピアノ協奏曲第2番ト短調 OP16

陰鬱たる冷たい肌触りのピアノ協奏曲はいかが?

プロコフィエフって、技巧が勝ってしまってfismajarのなかでは、ソ連(ロシア)のR.シュトラウスってイメージ。でも、この曲は大衆に媚びていない真剣な表情の音楽で、見た目の華やかさは全然無いけど、落ち着いて名曲の一つに数えていいと思うのです。ちょっと、精神分裂気味だけど??
第1楽章は、断片的リズムの導入にメランコリックな第一主題、続いてやや軽みのあるシニカルな第二主題、展開部は極度に長い(ほとんど全て)カデンツアがかなり印象的、その最後部は世界の破滅を思わせる低音ブラスの重厚な響きと待ってましたと言わんばかりのオーケストラの咆吼!(恍惚〓〓)、と突然とぎれた音楽に大変短い第一主題の再現で終わってしまいます。
第2楽章は、メロディが無いスケルツォ、バルトーク張りのピアノの超スピード超絶ストロークで、おおおおおおっって、いきなり終わってしまい(2分)、
3楽章インテルメッツォは行進曲風で、またしても低音ブラスの警笛風鈍い咆吼と陰鬱な木管の導入で、そこへピアノが対応する打撃的なパッセージとアンニュイな分散和音で自由に変奏してゆきます。トリオは、刻みつけるようなオーケストラとコミカルな感じの主題が印象的で、再び最初の低音ブラスの警笛主題が再現して終わります。
終楽章はプレスト、ソナタ形式。エネルギッシュで攻撃的なフレーズを超スピードで進んでいくなぁ〓と唖然としていると突然、ピタッと音楽が断片的になり「????」と思っていると今度は葬送行進曲がはじまり民謡風なメロディーでクラ〓く淡々とピアノが奏でられて、徐々に盛り上がって、新しい警笛風フレーズに移り、民謡主題と最初の攻撃的フレーズを絡ませて短く展開する突然ピアノの陰鬱極まるカデンツアになり、再び各主題の変奏を繰り返しつつオケと渾然一体になって盛り上がって一旦沈黙するが、これを突き破るかのようにプレストで激しく咆吼が始まり短いコーダとなってストンと終わってしまいます。
協奏曲としてでなく、一つの音楽作品としてみたとき、かなり魅力のある音楽だと思うのだけど。。

このCDでカップリングされた5番もチャーミングでピアノの華麗さはこちらの方が上かな。
演奏は、ダイナミックで音圧が高く感じられかなり善い!

ナクソス
プロコフィエフ・ピアノ協奏曲第2番・5番
ピアノ:クン・ウー・パイク
ポーランド国立放送交響楽団
指揮:アントニ・ヴィト
1991.5録音