第9番

完璧な未完成交響曲!!

ブルックナーといえばと、書き出せば誰もが「改訂」についてだな、と思うくらいこの人自作の改訂が多い人で、しかもそのほかに、弟子や監修者があれこれ出版時に思い思いに「改正」?編集をするのでなんか、CDを買って聴くときも何々版というのを意識しないとスコアで追っていったとき「?????」ということになりやすい。
今手元のスコアも音友の「ノヴァーク版」でいわゆる「ハース版」とかの違いでカットやパッセージの違いやいろいろあるので、本来ならいくつかの版でそろえればよいのだろうけど、マニアックにそろえる気はさらさら無いので結局同名異版にフル対応とは行かない困った話である。。。
が、ブルックナーの最後の交響曲9番は不幸か幸いか、悪名高きレーヴェによるへ編集版は、昨今の原典主義であまり演奏に顧みられずほとんど原典版もしくは全く音楽的には等価なノヴァーク版が普通。
そうなってしまったのは、他の交響曲の改訂ばかり追われて9番は3楽章を完成したもののフィナーレ楽章はとうとう未完成のままに死んでしまったから、改訂することもなく終わったためで、幸か不幸か。。。(^^;;
1楽章は、吉松隆が「核兵器で地球が滅亡したとき鳴り響く音楽」と表現したような冷たく峻厳な趣の音楽で、もう異次元というか、まるで刃を胸突きつけられるような凄味で「恍惚」??破壊的トゥッティーで強烈さはブルックナー作品でも一番怖い!
2楽章は、いきなり半音階の応酬でかなりのスリリングさ!古今東西のスケルツォでも最高傑作じゃないですか!トリオの前に3小節休止って指揮者はどういう振り方するのかなぁ。
3楽章は、アダージョ。本当はこの後続く4楽章があったはずだが、その筆が折られてしまったため結局アダージョ・フィナーレとなったのですが、その完成度の高さと楽想の素晴らしさといったら、もうここで「恍惚」@おなかいっぱいということで、十分ブルックナー交響曲群の有終の美を飾れるものです。
特に不安げな開始からゆっくりと上り詰めるトランペットの天国的旋律は、まるで敬虔なクリスチャンであった作曲者の神を見つめる澄んだ瞳がその姿を旋律として昇華した物のように感じる。
総じて、もう、人間の矮小さに比して神の巨大で偉大な様を見るような、超弩級大交響曲だぞ!

ヴァントの録音ではBPOとかの新しい録音もあるのですが、あえてこの旧版を。
だって、リューベック大聖堂のものすごい残響がもう「恍惚」っう〓!!
なんです。。
8番も秀逸でっせ!!
ブルックナー:交響曲第8番&第9番

ブルックナー:交響曲第8番&第9番