「立山」

立山連峰を描くエキサイティングな交響作品!

寒い日が続くので何か熱くなれる音楽を聴きたくて物色していて見つけた一品。
その名の通り富山県の委嘱による映像と音楽のコラボレーションを図ったもので、初演では松山善三監督による「立山」という映画が投影されている中演奏されたモノだ。しかしライナーノートに記される黛敏郎のコメントによれば「映画を自由に作ってもらった上で私は私なりにその映画に即したしかも純音楽として成立しうる作品を作ろうと言うことになった」*1ということで、確かにタイトル無くしてもこの曲を聴いていれば何か雄大なパノラマを感じられるような気がする。作曲者は実際に作曲のためだけに立山を空から観望したり立山隧道を歩いたと言うことだ。
で、全体は3部に分かれており、はっきりと区切られて演奏される。
第1部「大地」は「雪降る/雪の祭り/夜明け/春/春の祭り/新緑/山の花/台風/秋の祭り/山の秋」と四季の各シーンに応じている。
重厚なブラスによるタタンタンタンターという動機にゆったりした上下する音形の弦が雄大な立山を象徴する。この部分は各シーンのあちこちで再現され全体を統一している。各部は割と平易に親しみやすいメロディアスであり大変ロマティック。
第2部「祈り」はコンテンポラリィーミュージックらしい神秘的なサウンドで、以前御紹介した映画「天地創造」を思わせる。でもそんなに不協和音っぽくないので聞きやすいと思われ。「道/古代の人々と立山/開山者/山岳崇拝の遺構/地獄幻想1/能「善千鳥」/地獄幻想2」
後半の地獄〜はなかなか怖い感じが出ていて面白い。
第3部「道」は重々しい行進曲風に始まる。タンッタターという4度のインターバルによるファンファーレ風の動機がカクイイ!
「新しい道/道行く人々1/道行く人々2/頂上/道行く人々3」
あああ、コレ聴いてハタと思い出したのがレスピーギの「ローマの松」”アッピア街道の松”。似てるモノを感じるのでアレが好きな方は是非聴いてみると面白いかも。作曲者が意図していたのかそれとも似たようなシチュエーションの表現だと言うことなのか。「頂上」に達すると第1部の「立山」動機が復活、フィナーレへと向かう。ここがまた恍惚!格好良し!

TOWER RECORDSの自主制作版のようなブランドTOWER RECORDS RCA Precious Selection 1000というシリーズの一枚。
TOWER RECORDS ONLINE

*1:初演時の作曲者自身の解説より