第9番「新世界より」

あらゆる9番のうちでもっとも分かりやすい!

9番を作曲したら作曲家は死ぬ。ベートーベンにはじまりこのジンクスはこれわびっくりドボルザークもあてはまってしまいました。重要とされる交響曲作家は確かにこのジンクスあたっちゃっているので、不思議な話ですな。
新世界より」は御存じ宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」で第2楽章が現れます。「家路」とか「遠き山に日は落ちて」とかキャンプファイヤーで唱いました。こんなに一般に広まっている交響曲は「合唱」くらいですな。それくらいポピュラーミュージックになっちゃて、クラオタさまには「初心者音楽」のレッテルを張られてしまいがちですが、なんの、ある意味ドボルザークの交響作品の到達点であることは明白で、8番よりも更に複雑な音の綾を織り成しており、演奏もはるかに難しい。特に1楽章と4楽章はバランスを取り過ぎずかといって崩さずという「琴線」をはずさない演奏はなかなか有りません。ただ、それは裏を返すとホントに多くのメロディー/リズムを持ち前の作曲能力で詰め込み過ぎている感も有り、ドボルザークはなにか焦っていたのかもしれないなと、ちょっと考えたりも。
アメリカに渡って3年半、そこで彼が観たアメリカのエネルギッシュな姿は、作曲者に間詰めされた時間的間隔を味あわせたろうし、その結果「新世界より」という曲の中にやりきれない焦りと暗い影を写し出しているように感じる。
2楽章で恍惚!、4楽章のコーダ、余韻が残る部分で恍惚。。。