アッテルベリ ホルン協奏曲 イ短調 Op. 28

分厚い音響ですけど、なぜかリリカル。

ホルン協奏曲と言えば、何と言ってもモーツァルトの4つの作品にとどめを刺すと思うけど、スウェーデンの知られざる作曲家アッテルベリKURT ATTERBERG (1887-1974)のそれは、大変ロマティックでリリカル。そして雄大な北欧で見上げる星空を思わせる。
協奏曲の形式に順当で、全3楽章。完全に調性音楽で後期ロマン派の王道的作曲。
弦楽合奏とピアノ、パーカッションの小編成オーケストラにホルン独奏という形であるが、ライトモチーフなどの統一方法は用いていないのに、独特の雰囲気でなかなか緊密感をもった音楽。

まずは全編節度に動きがあって緊張感溢れる第1楽章Allegro pathetico。
比較的ユニゾンで動く弦楽伴奏にピアノとパーカッションのアタックを組み合わせたオーケストレーションは、ポリフォニックな要素が少なくて、伴奏という感じ。そこへ柔らかで伸びるホルンの歌が乗る。第1主題は上下に大きく振れるリズミカルなものだが、その派生のような第2主題はドラマティックでなかなか格好良いです。そして悲哀を含む第3主題。これは非常に息が長くて、最初は弦で次いでホルンと紡がれる。展開部はこれらの自由な変奏で時折打ち鳴らされるピアノとトライアングルの組み合わせによる警句がハッとさせる空気を醸すのが印象深い。これはなんだろう。運命の打撃?それとも打ち寄せる波飛沫?
次の2楽章Adagioはまた、最高に恍惚。
ソリストは気持ちがよいだろうナァ。。。
まるで雪の降るようなピアノの速いアルペジオと低域の充実した弦楽白玉に乗って、甘く美しいメロディーがホルンによって歌い上げられる。
高い音や難しいパッセージは全く無くて、大変吹きやすい音域を使っているのもソリストへの作曲者からの大サービスかしら。この冬の寒いさなかにアッついココアを楽しみながら聴くと、バルト海へトラップできまするw
フィナーレAllegro moltoはスケルツォ風。
ピアノとゴングの不思議なリズム音響と付点音符の弦のリズミカルな舞踏。どこかベルリオーズ幻想交響曲終楽章のワルプルギスの宴を想い出させる。ホルンはまるで主人公たる悪魔のように軽やかでアイロニーに満ちた立ち振る舞いを見せる。これも非常に自由な変奏曲形式で楽しい。そして最後は分厚いオーケストレーションの音響の中大団円を迎える。

アッテルベリについては下記にて。
クット・アッテルベリ - Wikipedia
3番「西海岸の風景」とかそのうち紹介しまひょ^^

ATTERBERG: Symphony No. 3 / Horn Concerto

NAXSOS : http://ml.naxos.jp/?a=CAP21364
Albert Linder (ホルン)
イェテボリ交響楽団 - Gothenburg Symphony Orchestra
ヘラルド・オスカンプ - Gerard Oskamp (指揮)