帝國軍艦 伊 吹

 彼方からの閃光 #9

13時50分。伊吹は射撃を開始した。 敵A群は高度四六〇〇メートルから六八〇〇メートルという非常に縦方向のレンジが広い先が鋭いくさび形の編隊だった。敵の航空機の密度は編隊と呼ぶには極度に密度が低い特殊な状態である。リスク分散を図っているのだ…

彼方からの閃光 #8

今井が再び息せき切って弾道管制室に戻ると、渡邉副長の手配であろう、既に新顔の水兵三名が操作卓の前で通信兵に何やら説明を受けていた。開いたハッチドアに立つ今井を全員がこちらを軽く驚いた様子で見た。 「今井大尉。」面長でひょろりと背の高い水兵が…

彼方からの閃光 #7

弾道管制室では、つかぬまの休息もどこふくかぜと、今井は二波に及ぶ戦闘時の、大まかな成果を簡単に纏めた書類を小脇に抱えて、出口ハッチのクリップに手を掛けたが、出ようとするその間際にふと思いとどまったように立ち止まり、首だけ振り返って小さな声…

彼方からの閃光#6((9/30改定))

冷たい海水に濡れ赤い船体を艶やかに晒しながら三隻の巡洋艦は、まだなお荒れている海上を疾駆する。陣形は隊列回頭後、順番が入れ替わり各艦800mほどの間隔で旗艦伊吹を殿に「鞍馬」「富士」と並んでいる。いまや砲撃開始を告げられた彼女たちは、長大…

沖縄戦での伊吹人員配置表入手

極秘文書*1(2) 864;width:20pt'> 1568;width:37pt'> 4064;width:95pt'> 8288;width:194pt'> 3872;width:91pt'> 3648;width:86pt'> 1024;width:24pt'> width:547pt'>軍艦伊吹艦内戦闘配備表 番号 科 戦闘配置 固有配置員 氏名 戦闘位置 主副別 1 border-to…

沖縄戦での艦隊配置表入手

極秘文書*1(1) *1:USO800規格文書

彼方からの閃光#5

戦闘準備に追われる水兵が駆け回る艦内を足早に抜け数度タラップを駆け上がり、息を切らしてたどり着いた後部艦橋には、応急準備に渡邉副長が来ていて、那須の顔を見るなり莞爾として訳をやんわり問いただした。 「高角砲長。なんだ、どこ行ってたの。」 ま…

軍艦伊吹の人員配置

プロットに合わせて配置など見直し。*1 *1:これらの作表においては[http://www.asahi-net.or.jp/~zq9j-hys/index.htm:title]さんの海軍データをお借りしました。m(_ _)m

彼方からの閃光#4

「ぅわわわわー、そっ、それ待って下さい!」 「わはは、それは待てないよ。大体もう君、何回それやってるの?」 「や、ま、それはそれとしてですね、今は待って下さい、イヤホントに待ってくれないと困ります。」 「イヤ僕は困らない、待つと困る。」 那須…

藤原伊吹准尉14歳 設定ラフが発表でする!

伊吹タソの偉大なる父!マイミクのしょうじ様からこの度「帝國軍艦伊吹」のヒロイン:藤原伊吹准尉の設定ラフを頂きました。つかわいいですかわいいですかわいいですかわいいですかわいいですかわいいですかわいいですかわいいですかわいいですかわいいですか…

彼方からの閃光 #3((改訂))

しかし、ようやく伊吹は気持ちを固めて改めて”黒い椅子”にゆったりと体を沈めた。硬い座面であったが座り心地は悪くなく、伊吹は気持ちの晴れないことを除けばそれなりにくつろげた。未だに葛藤はあったが、闘うことへ迷いを持つ時間は許されていない。脂汗…

彼方からの閃光 #2((改訂))

「第七戦速。おもーかーじ一杯。」森下は命じた。 「第七戦速。おもーかーじ一杯、よーそろー。」 当直航海士の慶賀野少尉が復唱し操舵室への艦内電話に元気に極めて明瞭に叫ぶ。速度指示器は第七戦速を指し、転舵指示器が点灯する。慶賀野少尉の細面は、寒…

彼方からの閃光((オリビエ・メシアン 「Eclairs sur L'Au-dela...」)) #1((改訂))

洋上は,折りしも分厚く低いそこの平らな層積雲の下で風速八ノットの強風と鉛色に鈍く光る長く大きなうねりで満ちていた。九州坊ノ岬沖南西に百三十キロメートルという暖かいはずの海域であり、しかも四月初旬春だというのに気温は猛烈に低く、襟を立てなけれ…

「帝國軍艦 伊 吹」プロローグ((改訂))((9/27改訂))

*1”テキ キエイ キエタッ。。。。。。。テッキ ゼンメツノミコミ!!”伝声管を通じて第1電探室からの報告は、うわずり気味でくぐもっていたがそれは伊吹にも聞こえた。「了解!再度、残敵無いか確認急げ」 今井大尉は、落ち着いた低い声で答え指示した。 艦…