「ピアノ協奏曲 ト長調」

コンパクトながらチャーミングな名曲!

ラヴェルのピアコンならこのト長調と左手のと二つあるわけだが、fismajar的にはどちらかというとト長調のもののほうが、恍惚要素が多さで軍配をこちらに上げる。
ムチの一打ちで可愛らしく始まる1楽章は、おもちゃのような響きのピアノのアルペジオに乗ってピッコロによる速い大変チャーミングなスペイン風の第一主題で始まり、これがトランペットによる強奏で繰り返されると、おもむろにピアノがジャージーな第2主題を自由に奏でて行く。情感たっぷりでこれがまたまた類型がない大変魅力的な音楽で、オーケストラの魔術師の凄腕をたっぷり味わえて恍惚。展開部は短く提示部を回想したあと、幻想的な音楽となりなにかトラップしているような摩訶不思議な様相だが、そんな白昼夢の中、ピアノがトリルを多用して第2主題を歌い上げてみたりする。展開部の後半は、劇的に駆けて行き、そのまま大変短い簡単な再現部へ突入、たちまち終わる。
第2楽章は、これがもう恍惚の深い哀調を帯びたピアノの独奏で始まる。古今東西、このようなロマンティシズム溢れる息の長いピアノ独奏のコンチェルトは無い!しかも耳に心地よく美しい。フランス音楽のもっとも美しいものの一つだと言って過言ではない。ワルツの心地よいリズムと時折入り込む不協和音が都市的な悲哀を感じさせてくれる。このあたり、坂本龍一あたりが大分影響されたと思しき部分か。*1
第3楽章は、再びスネアの連打を伴った警句風の主題を変奏曲風に展開、大変短い楽章でピアノが弾きまくったかと思うと、オーケストラがかなり突っ込んで鳴らしまくって、ピアコンと言うよりオケコン。格好いいです。

瑞々しいフランソワのピアノと定番、クリュイタンス&パリ管!
ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲

  • アーティスト: フランソワ(サンソン),ラヴェル,クリュイタンス(アンドレ),パリ音楽院管弦楽団
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2004/12/08
  • メディア: CD
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*1:面白いことに演奏によってはこの第2楽章がもっとも長い演奏時間となっている。ラヴェルが相当この楽章に入れ込んでいたと思わせる部分。